東京03単独ライブのネタバレ感想 〜『人間味風』@浜松〜

東京03単独ライブのネタバレ感想 〜『人間味風』@浜松〜
Essay
東京03単独ライブのネタバレ感想 〜『人間味風』@浜松〜



記事後半、しぬほどネタバレしてますので自己責任でお願いします。

 


ちょうど9月に旅行を考えていて、静岡県浜松市で東京03の単独ライブが行われることもあり、ライブ鑑賞がてら静岡旅行することにしました。

東京03の単独ライブは初めてでした。いや、お笑いライブ自体が人生で初めてだったかもしれません。
「笑いのつぼ大丈夫? みんなと違うところで笑ったら刺される?」「こんな新参者が東京03のライブ行って席蹴られない?」などなど、行く前は割と真面目にこんなことを心配してました。
席は限りなくステージに近い完全なる良席。「つば飛んでくるんじゃない」なんて冗談言えるくらいには精神が安定してきたころ、幕が上がりました。

東京03ライブを、映像でも観たことがある方ならわかってくれますでしょうか、あの少しアンニュイで皮肉めいたジャジーなメロディとともに始まるオープニング。東京で働き生きていくからこそ感じる焦燥感や高揚感の入り混じるようなあのなんとも言えない幕開け、好きなんですよね。私はそこで東京03の世界観へグッと連れて行かれました。
ステージがものすごく近くてありえないくらい臨場感が迫っていました。
「いつも映像で見てるだけの3人が目の前に!」という感動はもちろんあったのですが、全身でコントの世界観を表現している彼ら、素直にかっこいい! という感想がまず第一に。そんな風に感心していると間も無く笑いの渦に飲み込まれたのでした。

今回のライブタイトルに掲げられた『人間味風 -Ningen mifuu-』の名はまさに東京03のコントの世界観感を示しているようです。何気ない日常の中に時たま「ん…?」と気づいてしまう居心地の悪さや、ささやかな違和感に焦点を当てて深掘りしたコントが得意なユニットですが、そういう「ナンカオカシイナ?」にちょっと気の利いた調味料を加えて、さらに人間の弱さやダサさ、したたかさを浮き彫りにして笑いに変えてゆくスタイル。いや、恐れ入りました。すごく面白かったです。是非また。絶対また観に行きたい。

角田さんと飯塚さんがわちゃわちゃやってるときの、豊本さんのなんとも言えない無表情加減が大好きでたまりません。あんな顔トヨモっちゃんしか出来ない。




以下、まあまあなネタバレしてるのでまだご覧になっていない方はご注意!!

*浜松公演時点での感想です(記憶が曖昧な部分あり)

 

1. 部長のいい話 ★★★☆☆

角田さんが、またこれがめんどくさく説教じみた部長を演じるという「待ってましたこういうの見たかったんです!」感の強いコントから始まりました。
居酒屋の設定ですね。これからまさに「いい話を言うんだぞぉ!心して聞けよぉ!」と力む部長をかわし、部下2人が示し合わせたように同時にトイレに行くというところからコントが展開していきます。
完全不燃焼というか、喉元まで出かかった言葉を発せなかった消化不良感を携えたまま、ステージ(=飲みの席)に1人残された角ちゃんの表情や体の揺らし加減とか、2人が戻ってくるまでの絶妙な時間(本当にちょうどよかったと思った)を楽しんでもらいたい。

 

2. 開店祝い ★★★★★

東京03の王道と思えるようなこの作品、めちゃめちゃ好きでした。
角田さんが、10年前(だっけ?)にログハウス風のお店を開いて、当時の開店祝いにもらったオーディオコンポの故障を巡り、話が突拍子もない方向に展開していきます。
ネタバレですが、贈り物をもらえるだけで感謝したいしその気持ちがとても嬉しいことなんだけど、「いやでも… これじゃないでしょ、そうじゃないでしょ」ってもやっとしちゃうのは、おそらく長い人生の中誰もが経験してますよね。まさに、「いらないなんて言えないよーッ!!!」
どうオチに向かうかな、とワクワクしていたら、ここで豊本さんの「工具箱を持った悪魔」がまたいい味を発揮します。ありがた迷惑というシチュエーション… 日常でもしょっちゅうありますね。この「工具箱を持った悪魔」、幕間のVTRでも大事な場面で出てくるので「使い方ウマっ」と声あげそうになりました。

 

3. 満を持して ★★★☆☆

これは角ちゃんの部屋に遊びに来た友人同士、って設定だったかな?
角田さんがいろいろ話す中で最後の一言を一旦溜めに溜めるものだから、聞いてる方は「なんだなんだ…?」と固唾を飲んで期待しちゃうけど、結局普通のことしか言えないんかい! っていうやり取りを、何回か繰り返すコントでした。
内容というよりは、終盤で3人がステージを大きく使って暴れてた印象が強い。伏線が回収されていくのを堪能する面白さ、というよりは「お前なんなんだよ!!」と言いたい感情を身体全体を使って表すコントでした。

 

4. 余計な感情 ★★★★☆

演劇稽古のシチュエーションのコントは『ハムレット』以来…かな? それとはまた全然異なる設定と展開で攻めてきてましたね!
超長ゼリフを言い切れた嬉しさを抑えきれずに徐々に感極まってしまい役を超越して感情モロ出ししちゃう…を繰り返す、っていう、その設定だけに着目すると一見地味に感じるけど全然そんなことないし、なんだかんだ1番記憶に残っているコントです。単純に、あの長ゼリフを忘れずに噛まずに言い切れたことだけでもすごくて、私も含め周りの観客から「おぉ〜…!」と言う声が漏れてました(笑)
あと、角田さんが喜んでる姿を見て、「おお、そんなに嬉しい?」と言う飯塚さんの言い回しや表情が好きでした。

 

5. 恥ずかしいはずの話 ★★★★☆

失敗した人間の「いや〜やっちゃったんだよ〜」っていう面白おかしい漫談をどうしても聞き出したい人たち(角田さん・飯塚さん)と、失敗の事実を誤魔化して「別に本意じゃなかったし、別に俺悪くないんだよね」という方向にどうしても持っていきたい人(豊本さん)の、壮絶な言論バトルです。
なんというか、例えるならツイッターで「いや、そうじゃない」というリプが返ってきたときのようなモヤモヤ感を、このふてぶてしいとよもっちゃんからはよーく感じられると思います!笑
豊本さんの無表情演技が大好きなんですよね。あんなに大層な怪我をしてるのに、表情ひとつ変えることなく「大したことないし」感を貫けるのはすごい。

 

6. 浮気相手と ★★★☆☆

今回のステージでは比較的短いコントでした。
ごめんなさい、めっちゃネタバレしますね。
飯塚さんの妻と体の関係を持ってしまった角田さんが謝罪しているシチュエーション。その傍らには女装をしたひと言も喋らない豊本さん-。これだけを見ると観客は当然、トヨミは飯塚さんの妻役だろうな、という目で鑑賞してるんだけど、実は角田が浮気のお詫びとして用意したなんの関係もない女、というとんでもない話(笑)
こいつどんなメンタル持った女だよ…? と豊本さんに注目してみてほしい。やばいけどかわいかった。

 

7. その日までに ★★★★★

『人間味風』のラストにとてもふさわしいコントでした。家族の話というのもあって普通にちょっと感動してうるった。
長男:角田さん(中小企業の正社員)|次男:飯塚さん(親父の定食屋を一緒に営む)|三男:豊本さん(東京でフレンチの店を持つ青年実実業家)
という、3人が兄弟というなかなか珍しい設定でした。
3人のお父さんが危篤状態である最中、病院で繰り広げられるのは、実家と縁を切った三男豊本とお父さんを会わせるべきか追っ払うべきか、という攻防戦。
重たいテーマではありながらも、”家族” というテーマをきちんと主軸に起きつつ、全力で笑いを挟み込んでくる角ちゃんの、「お前結局どっちやねん!笑」というあっちいったりこっちいったりの情緒の変動に注目してほしいコント。
シリアスと笑いを巧みに混ぜ合わせた、今回の単独ライブの中で最高に好きな作品でした。


生意気にも評価付きで感想書いてしまいましたが。
ご本人たちや関係者にまで届くといいな。早く映像でも見返したいですし、来年以降の単独ライブも楽しみにしています!!
腕をあげとくので、ライブのキービジュアルのイラスト書かせてください!!

それではまた次回まで。

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